DJI Osmo Action
防水性・堅牢性・操作性に優れたアクションカム
「撮れそうで撮れなかった日常」を切り取る
アクションカムの特長と言えば、ボディの防水や堅牢性、コンパクトさだろう。
実際それらのアクションカムの性能が、ウィンタースポーツやエクストリームスポーツ、サーフィンまで、通常の撮影機材ではコストやリスクが発生する場面を、容易かつ手軽に記録できるようにさせた。
しかしながら、昨今のアクションカムの流行の要因は、そういったアクションカムのウリはもちろんだが、「諦めがちだった屋外の悪天候の撮影を、手軽に切り取れるカメラとして、コンシューマーのレイヤーにまで落とし込んだこと」にある。
さて、今回紹介するのは、DJIが2019年春に発売したアクションカム「Osmo Action」だ。
アクションカム界の王者・GoProを、DJIがいかに迎え撃つかがプロ/アマチュア界隈で注目された。
本レビューは、「Osmo Pocket」の記事でも寄稿いただいたOrochi氏。
仕事でも、Osmo Pocket や GoPro を普段使いすると言う。
依頼当初は「すぐに海に行く予定があるのだろうか」と危惧さえしたが、Orochi氏は風雨の日や近隣の水辺といったシチュエーションを撮影して届けてくれた。
「Osmo Actionはアクションカムですが、『シビアな撮影環境以外でも真価を発揮する』ということをお伝えできればと思いました」という語り口に、少し視界が開けるような気さえした。
ALL Osmo Actionで撮影した2作品は、「シックでアーティスティックな雨の日」と「ほっと安心するような日常」を提供いただいた。
Osmo Action、Osmo Pocket、GoProの3機種についても、Orochi氏の視点で比較・解説。
ぜひ、Osmo Actionを「『どんなときも/どこへでも』一緒に連れて行けるカメラ」として検討してみてほしい。
-Rain- Osmo Action Tokyo-Shibuya Cinematic Slow Motion 4K /
-Spring water- Osmo Action Genbei-river Cinematic 4K
撮影シチュエーション
-Rain- Osmo Action Tokyo-Shibuya Cinematic Slow Motion 4K
- 時期:2019/5/20 10:00~11:00
- 場所:東京都渋谷区
-Spring water- Osmo Action Genbei-river Cinematic 4K
- 時期:2019/6/6 11:00~12:00
- 場所:静岡県三島市
今回これらのシチュエーションで撮影した理由
「身近にある風景、でも積極的に撮ることをためらう」――たとえば、風雨の日や水場などの日常を、強力な手ブレ補正と防水機能を備えたOsmo Actionで表現しました。
Osmo Actionはアクションカムですが、「シビアな撮影環境以外でも真価を発揮する」ということをお伝えできればと思いました。
制作フローの紹介
Osmo Actionのセッティング
-Rain- Osmo Action Tokyo-Shibuya Cinematic Slow Motion 4K
- 撮影モード:スローモード
- シャッター速度:1/240
- ISO感度:1600まで状況に合わせて(Mモード)
- 解像度&FPS:1080P 速度8X
- 画質:D-Cinelike
-Spring water- Osmo Action Genbei-river Cinematic 4K
- 撮影モード:前半は動画モード、後半はHDR動画モード
- シャッター速度:1/120
- ISO感度: 800までを状況に合わせて(Mモード)
- 解像度&FPS:前半は4K60P RSオン、後半は4K30P HDR (HDRの場合、RockSteadyは使用できません[※RockSteady: Osmo Action独自の手ブレ補正の呼称])
- 画質:D-CinelikeとHDR
Osmo Action以外に準備したもの
- iPhone XS Maxモバイルバッテリー
- RockSteady使用時:三脚付き自撮り棒(最長66cm)
- RockSteady未使用時:アクションカメラ用ジンバル
- ND-PLフィルター(ND4~ND64)
撮影時に工夫したポイント
Osmo Actionは水深11mに耐えられる防水機能をもっているので、まずは土砂降りの雨の中を撮影しました。
人々の行き交うスクランブル交差点を撮影するだけでも絵になるのですが、8倍のスローモーション撮影が手軽にできるOsmo Actionなら、雨粒のひとつひとつや、弾け飛ぶ水しぶきを鮮明に捉えられたので、日常のありふれた光景の中に、非現実的な映像表現をプラスできたと思います。
そして、Osmo ActionはD-Cinelikeのカラーモードが選択できるので、編集時のカラーグレーディングも楽しみですね。
撮影時の注意点としては、スローモーション時にRockSteadyが効かないので、映像の水平を気にする場合はアクションカメラ用のジンバルを使用すると良いと思います。
もしジンバルがない場合は4K60P RockSteadyで撮影した後、編集の段階で24Pのスローモーションに変換しても、お手軽に綺麗なスローモーションが作れるのでおすすめです。
池などの水中撮影は、自撮り棒つきミニ三脚があると撮影がとても楽になります。
腕を水中に入れて撮るのはとても大変なので、自撮り棒を伸ばして水中にカメラを入れたり、ミニ三脚で固定したりとOsmo Actionとセットで準備しておくと撮影がスムーズに運び、後悔することがなくなります。
普段あまり見ることのない水中の生態系を観察できるので、お子さんがいらっしゃいましたら、夏休みの自由研究に使うこともできますね。
日中の撮影は極端にシャッター速度が上がってしまい、どうしてもパラパラした絵になってしまいがちです。
少しでも綺麗な映像に仕上げたいなら、専用のNDフィルターを持っておくと便利です。


NDフィルターはPLフィルター兼用の物もあるので、私はそれを選びました。
前述のように、シャッター速度のための光量を落とす役割も大切です。ただ、PLフィルターの効果は、肉眼では見えているのにカメラ越しでは霞んでいる風景などで強く発揮されます。上記には富士山が見えておりますが、PLフィルターがなければ「フィルターなし」のように何も見えなかったでしょう。
Osmo Actionは4K HDRでの動画撮影ができます。
HDR撮影の利点は、明暗差の激しい撮影環境を、白飛びや黒つぶれもなく上手くまとめてくれます。


スローモーションの撮影時と同様で、HDR動画ではRockSteadyが効かないので、ジンバルを使用して手ブレを軽減しています。
HDR撮影では、空の雲も木々の緑も、鮮やかに映し出すことができました。
Osmo Actionにハマるワケ

Osmo Actionは同じDJI製品であるOsmo Pocketや、GoProなどのアクションカムと比べられるかと思います。
手ブレ補正の度合いをはじめとした製品比較については、比較動画がたくさんYoutubeにアップされているので、そちらをご覧下さい。
今回は私なりに感じたOsmo Actionの魅力をご紹介したいと思います。
GoProとの比較
まず、GoProと比較して感じたOsmo Actionの魅力は、「画面操作がしやすいこと」。
ボタンやタッチパネルの反応が、競合であるGoProと比較して快適で、どんな環境でも思い通りに設定を変えて撮影できます。
操作におけるレスポンスが悪いと、撮影自体が面倒くさくなってしまいがちなので、とても大事な部分だと感じました。
次に、なんといっても「自分の撮影設定をQS(クイックスイッチ)として保存できること」!これがとても便利でした。
撮影の度にいちいち細かい設定を変更しなくても、画面横のQSボタンを押せば、即座にベスト設定に切り替えられます。
QSボタンの使いどころとしては、とっさにスローモーションを撮る場面に出くわしたときや、アクションカムを撮影補助として使う時などにシーン別に切り替えたりという場合。
実際に使う人の事を考えた、画期的な機能とボタン配置だと思います。この辺りは後発であるOsmo Actionの強みですね。
そのほか気になるのは、色について。
GoProカラーによる発色の良い映像が好みならGoPro、D-CinelikeによるLog撮影での後処理で好きに色をいじるならOsmo Action。
この2パターンに分かれるだけなので、ご自身の編集スタイルに合わせると良いと思います。
Osmo Pocketとの比較
次に、Osmo Pocketとの比較について。
Osmo Pocketはスマホにドッキングした形での被写体をトラッキングした撮影スタイルで、撮影状況を確認しながらジンバルらしい安定感のある移動撮影ができます。
Osmo Actionは、強力な手ブレ補正による高速な移動撮影でも申し分なく撮影できますが、水平を保った安定感のある撮影がしたい時には、別途ジンバルが必要となります。
これはスローモーションもHDR撮影も同様です。
私としては、Osmo Pocketは「日常の中で自分の伝えたいものを切り取る」という使い方をメインにし、Osmo Actionは「自分が“体感”していることを“自分目線で”伝える」という使い方で、棲み分けができて良いと感じます。
機能的に言えば、Osmo Actionはスローモーションが得意で、Osmo Pocketはハイパーラプスが得意ですし、Osmo Actionは落としても踏んでも大丈夫ですが、Osmo Pocketは落としたらジンバルが壊れそうなどなど、得意分野やメリットがそれぞれに違います。
結論的には、Osmo ActionとOsmo Pocket、両方あれば幸せかもしれません。後、さわる機会があれば音声操作も試してみてください。
今後Osmo Actionに期待すること
スローモーションでもHDRでも、RockSteadyを使いたいです。
バッテリーやNDフィルターなどのオプションは、製品と同時に販売していただければ、製品発表時の興奮を損ないませんね。
Creater's Profile

Name:Orochi@WeddingMovie
結婚式自作ムービー応援サイト「LEGENDARY」の管理人。
システムファイブソーシャルアンバサダー。